インビザライン(マウスピース矯正)は多くの歯並びに対応できますが、特定のケースでは大きな歯の動きや複雑な歯並びに対しては効果を十分に発揮できないことがあります。
このような場合、ブラケット矯正を併用することで効率的に改善をはかることが可能です。
この記事では、ブラケット矯正を併用する代表的なケースとその効果について解説します。
目次
■ブラケット矯正併用が必要な3つのケース
◎奥歯の前方傾斜(アンカレッジロス)
出っ歯などの矯正では前歯を後方に移動させるスペースを作るために抜歯を行うことがあります。この空いたスペースを利用して前歯を後方に移動させると、奥歯が前方に傾斜して倒れ込む「アンカレッジロス」という現象が起きることがあります。
インビザラインの力が歯に正しくかからないと、奥歯の歯冠に近い部分だけが強く押し出されこのような状態になります。
この場合、ブラケット矯正を使って効率よく元の位置に戻すことが可能です。
◎歯の表面積不足で歯をしっかり掴めない場合
インビザラインでは、アタッチメントというプラスチックで引っかかりを作って歯を動かすことがありますが、歯の露出面積が小さい場合、十分な力をかけにくくなります。
特に奥歯が歯肉に少し埋もれている場合、内側に引っ込んでいる場合など、アタッチメントを設置しにくいため、装置がしっかりフィットしません。
この場合、ブラケット矯正で奥歯を引っ張るなどして、安定した動きを確保することで、確実に治療を進めることが可能です。
◎奥歯のねじれ
臼歯が強く回転している場合、インビザラインのみで矯正するのが難しくなることがあります。
臼歯は円柱状の形をしているため、マウスピースでの矯正の回転運動では空回りしやすく、理想の動きができません。
ブラケット矯正とゴムチェーンを使うことで、強い回転力を発生させ、短期間で回転を正すことが可能です。
■ブラケット矯正を併用するメリット
◎インビザラインの苦手な動きがスムーズに進む
ブラケット矯正は奥歯をしっかりと引っ張り上げる力が強く、短期間での挺出が可能です。
特に、インビザライン単独では困難な沈み込んだ奥歯を元の位置に持ち上げるのに有効です。
また、強い回転運動などもブラケット矯正を行うことで可能になります。
◎短期間で改善が期待できる
難しい歯のねじれや傾斜の矯正には、ブラケット矯正が短期間で効果を発揮します。
インビザラインのみだと長期間かかる矯正治療も、ブラケット矯正の併用により効率的に治療を進められます。
◎ブラケット矯正が終わればインビザラインに戻れる
ブラケット矯正を併用する場合、必要な歯の動きが完了した後は再びインビザラインに戻って治療ができる点も大きなメリットです。
インビザラインは透明なマウスピース型のため、日常生活での見た目を気にせずに矯正を続けられます。
装置を取り外せる利便性や、ブラッシングのしやすさも保たれるため、口腔内の清潔さを維持しながら治療を進められます。ブラケット矯正によって一時的に効果を高めつつ、その後インビザラインの快適さを再び得られる点が大きなメリットです。
■併用治療の流れ
◎ブラケットの流れ
1,精密検査
2,治療計画の立案
3,歯型取り&装置の作製
4,装置の装着と矯正開始
5,ブラケット矯正終了、インビザラインへの移行
◎インビザラインの流れ
6,インビザラインの精密検査
7,治療計画の立案
8,歯型取り&マウスピースの作製
9,マウスピースの装着と矯正開始
10,インビザラインの終了
11,保定の開始(リテーナーの装着)
12,保定終了と定期メンテナンス
【併用することのメリットは多い】
インビザラインとブラケット矯正の併用は、歯並びが計画通りに動かない場合のリカバリーや、複雑な歯並びに対応するために大変効果的です。
奥歯の沈み込みやねじれ、重度の歯並びの乱れなど、インビザラインのみでは解決が難しい症例に対して、ブラケット矯正の併用により短期間での改善が期待できます。
歯並びに悩む方は、矯正専門の歯科医医師に相談し、自身に合った治療方法を選ぶことが大切です。