矯正は若い人が受けるものと思っていませんか?
実は、歯列矯正には明確な年齢制限はありません。近年は、見た目だけでなく歯や骨の健康意識が高まり、40代、50代以降で矯正を始める方も増えています。
ここでは、歯列矯正は何歳までできるのか、年代別の特徴や注意点を交えながら詳しく解説します。
目次
■歯の矯正は何歳までできる?
◎年齢の上限はない
歯列矯正は歯を支える骨が健康であることが前提となるため、基本的に何歳まででも治療は可能です。
10代や20代のように骨の代謝が活発な時期は歯の動きが早い傾向にありますが、50代や60代でも歯槽骨に十分な厚みや口腔内が健康であれば問題なく矯正できることが多いです。
歯を動かす原理は年齢に関係なく同じであり、重要なのは歯肉や骨の状態、むし歯や歯周病の有無などです。
◎成人矯正が一般的になっている理由
マウスピース型矯正の普及により、目立たずに治療できるようになったことも、成人矯正の増加を後押ししています。
また、矯正治療を通じて歯の清掃性が高まり、将来的に歯を失うリスクを減らせる点もメリットとして認知されてきたのも大きな理由といえるでしょう。
■20代、30代の矯正
◎スムーズに矯正できる時期
20代、30代は、骨の代謝が活発で歯が動きやすく、治療期間を短くしやすい年代です。
社会人になってから矯正を始める人も多く、マウスピース型矯正や裏側矯正のように目立ちにくい方法を選ぶ傾向があります。
◎妊娠、出産を控える場合の注意
女性の場合は、ホルモンバランスの変化によって歯肉が腫れやすくなることがあります。
矯正治療を考える際には、ライフイベントとのタイミングを歯科医師と相談しながら進めるのが安心です。
■40代の矯正
◎歯周病への配慮が大切
40代では、歯周病のリスクがだんだん高くなる時期です。
矯正を始める前に歯肉の炎症や歯の揺れがないかを確認し、必要があれば歯周治療を優先します。
歯周病をコントロールした上で矯正を行えば、歯列が整うことで清掃性が高まり、結果的にお口の中の健康を維持しやすくなります。
また、歯の根や骨が成熟しているため、若年層よりも歯の動きが緩やかになる傾向があります。
■50代、60代の矯正
◎口腔内の健康状態が良ければ十分可能
50代、60代になっても、矯正治療を受けることは可能です。
近年では、歯を長く残したい、入れ歯やインプラントの前に噛み合わせを整えたいといった目的で矯正を始める方も増えています。
歯を支える骨がしっかりしていて、歯周病がコントロールされていれば問題なく歯を動かせます。ただし、矯正前に歯の根や骨の状態をCTなどで詳しく調べることが重要です。
また、インプラントやブリッジなど、喪失歯部分があると治療内容が変わってくるため、注意が必要です。
◎治療のゴール設定を明確に
50代以降の矯正では、審美性を重視するのか、噛み合わせの改善を重視するのかなど、目的を明確にすることが成功のポイントです。
無理に全ての歯を動かすのではなく、必要な範囲に絞ることで負担を軽くするなどの方法もとっても良いでしょう。
■子どもの矯正(ZERO矯正)も重要
◎成長期ならではの矯正のメリット
矯正は「何歳までできるか」という視点と同時に「いつからできるか」も大切です。
小児矯正の一つであるZERO矯正は、乳歯の段階から顎の成長を利用して歯並びや噛み合わせのバランスを整える治療です。
顎の骨が柔らかく成長が活発な時期に介入することで、将来的に抜歯をせずに済む可能性も高くなります。3歳から小学校低学年頃までに始めると、自然な発育を生かしながら理想的な歯列の土台を育てることにつながります。
【矯正治療は何歳でも可能だが年齢別に注意は必要】
歯列矯正は何歳まででも受けることができ、50代、60代でも十分に効果を期待できます。
年齢よりも大切なのは、歯肉や骨の健康状態、そして治療の目的を明確にすることです。
一方で、成長期の小児矯正では顎の発育を利用して、将来の歯並びを良くするための土台作りを行えます。
もう遅いとあきらめず、自分の年齢に合った矯正治療を検討することが、歯並びと健康な口元を保つ第一歩になるでしょう。