マウスピース矯正と聞くと、多くの方が透明で目立たない矯正というイメージを持たれることでしょう。
中でもインビザラインは世界で広く認知されており、多くの患者さまに使用されている実績のある矯正方法です。
一方、最近では格安マウスピース矯正と呼ばれる低価格のサービスも登場しており、ネット広告などで目にする機会が増えています。
どちらも見た目は似たような透明な装置ですが、実は治療の中身やリスク管理には違いがあります。
この記事では、インビザラインと格安マウスピース矯正の違いについて、治療の内容、安全性、サポート体制などを中心に詳しく解説していきます。
目次
■インビザラインと格安マウスピース矯正の違いとは
◎装置だけでなく「治療そのもの」が違う
インビザラインも格安マウスピースも、使用する装置は透明なマウスピースです。
しかし、矯正治療で重要なのは装置そのものではなく、どのように歯を動かしていくかという治療計画と歯科医師の管理体制です。
インビザラインでは、歯科医師が一人ひとりの口腔内を詳細に診査し、デジタルシミュレーションに基づいて治療計画を立てます。
その上で、複数回の診察を重ねながら、歯の動きを細かくコントロールしていきます。
一方、格安マウスピース矯正では、オンラインでの問診や自宅での歯型採取など、通院を最小限に抑えるケースもあります。
これによりコストが下がる反面、専門的な診断の機会が減り、リスク管理の面で差が出ることがあります。
◎適応できる症例の幅が異なる
インビザラインは軽度から中等度、さらに難症例まで幅広い歯並びの改善に対応しています。
これまでに治療を受けた患者さまの症例データが蓄積されており、その実績に裏打ちされた信頼性があります。
一方、格安マウスピース矯正の多くは、軽度の叢生や前歯だけを動かす部分矯正に特化していることが多く、複雑な症例や抜歯が必要なケースには対応していない場合があります。
■日本矯正歯科学会も注意喚起
◎自己判断での矯正にリスクがあると指摘
日本矯正歯科学会では、歯科医師の診察を受けずに自宅で治療が進行するようなサービスについて「思わぬ健康被害が出るおそれがある」と警告しています。
マウスピース型矯正装置による治療に関する見解 |
公益社団法人 日本矯正歯科学会
例えば、むし歯や歯周病がある状態でマウスピースを装着して歯を動かすと、症状が悪化する恐れがあります。矯正中に顎関節に負担がかかっても、誰にも相談できずに進んでしまうケースもあります。
■インビザラインのメリット
◎歯科医師の管理による安心感
インビザラインの治療では、必ず歯科医師が治療全体をに関与します。
歯の動きに応じてマウスピースの調整が必要な場合もあり、途中で方針を微調整することもあります。
患者さまの口腔内の状態を定期的に確認し、必要に応じて他の治療と併用することで、総合的に健康的な歯並びを目指します。
◎長期的な口腔の健康にもつながる
しっかりと計画された矯正は、見た目の改善だけでなく、噛む力のバランスや歯の寿命にも良い影響を与えます。
噛み合わせが改善されることで、将来的な歯周病や顎の不調の予防にもつながります。
■格安マウスピース矯正が全て悪いわけではありません
◎目的とリスクを理解した上で選ぶことが大切
格安マウスピース矯正が全て悪いというわけではありません。
軽度な歯並びの改善を希望し、コストを抑えたい方にとっては有効な選択肢になり得ます。
しかし、どのような治療法にもメリットとリスクがあることを理解した上で、自分の歯並びの状態や目標に合った方法を選ぶことが重要です。
不安がある場合は、歯科医師にセカンドオピニオンを求めることもおすすめです。
【矯正方法は慎重に選ぶ必要がある】
インビザラインと格安マウスピース矯正は、見た目が似ていても中身は大きく異なります。
装置だけでなく、治療の進め方やサポート体制、診断の精度まで含めて比較することが大切です。
自分の歯並びを一生に関わる健康資産と考え、納得できる方法で治療を選択していきましょう。