矯正治療は、歯を押して歯槽骨の吸収と増生を促し、歯を移動させる治療です。
その矯正治療の結果、歯と歯、歯肉の3点を角とした三角形の隙間が空いてしまうことがあります。
ブラックトライアングルができてしまう原因は何なのでしょうか。
また、ブラックトライアングルを防ぐことはできるのでしょうか。
目次
■ブラックトライアングルとは?
◎ブラックトライアングルの特徴
ブラックトライアングルは歯と歯、歯肉の3点を角としたトライアングル上の三角形の隙間です。
隙間として開いた部分が黒く見えるのでブラックトライアングルと呼ばれています。
基本的に前歯にのみ起こり、奥歯には起こりません。
これは前歯が歯根の方に行くほど細くなり、奥歯は広がるという形態に関係しています。
ブラックトライアングルがあると気になるという患者様は多いです。
歯肉が引き締まっていたとしても、歯と歯の間をきちんと埋めている状態の方が健全に見られやすいということもあるでしょう。
器質的に問題がなくても、特に前歯は審美的に気にしてしまうケースが起こりがちです。
◎ブラックトライアングルの原因
ブラックトライアングルは歯肉が下がることによって起こります。
歯肉が下がる原因の1つは、歯槽骨の吸収にあります。
そのため、矯正治療で歯槽骨が吸収するほかにも、歯周病による吸収、加齢による吸収によっても起こります。
また、もう1つの原因として、歯肉自体が下がってブラックトライアングルとして見えることもあります。
ブラッシングが強すぎて歯肉が下がってしまったり、腫れていた歯肉が元通りなったりして、ブラックトライアングルの状態になることもあります。
■矯正治療でブラックトライアングルが起こる原因
◎歯肉が引き延ばされるから
重なった歯をきれいに並べた時などに歯肉が引き延ばされてブラックトライアングルとなることがあります。
◎歯肉の腫れが引くから
歯並びがきれいになると歯磨きがしやすいため、歯肉の腫れが改善し、ブラックトライアングルとなることもあります。
◎充分な歯槽骨がなかったから
歯が重なって生えている部分は歯槽骨が充分にないというケースがあります。
その結果、歯をきれいに並べた時にブラックトライアングルとなることもあります。
■ブラックトライアングルを引き起こさないために
◎歯周病の防止
矯正治療では、問題のない治療でもブラックトライアングルが起こることがあります。
しかし、歯周病などによる歯槽骨の吸収と歯肉の退縮は防ぐことができます。
きちんと歯磨きをして、歯周病を予防しましょう。
◎IPRと矯正
歯が先端に行くほど細くなることによってブラックトライアングルは現れます。
そのため、歯の側面を真っすぐに削り、その歯を寄せるように矯正することでブラックトライアングルを治療することができます。
薄く削りますが、痛みが出やすくなることもあります。
◎ダイレクトボンディング
むし歯を詰める時のように、歯と同じ色のレジンで隙間を埋めます。
ただ、プラスチックをくっつけている状態のため、外れやすいというデメリットもあります。
【さまざまな原因で起こるブラックトライアングル】
ブラックトライアングルは、歯周病、加齢、歯肉自体の退縮や、歯肉の腫れが引いたことによっても起こります。
矯正治療においては歯肉が引っ張られること、歯肉の腫れが引くことによって現れることがあります。
問題のない治療でも起こるため、そのようなリスクがあることを理解して矯正治療を行うと良いでしょう。
ブラックトライアングルの治療にはさまざまな方法があります。
まずは歯周病による歯肉退縮を避けた上で、治療を検討してみると良いでしょう。